終業式 1
- 公開日
- 2020/12/25
- 更新日
- 2020/12/25
真中日記
令和2年度 2学期 終業式
校長先生のお話
『90日間の2学期。今日がその90日目です。
90日間を振り返って、「コロナ渦」で学校生活も制限や変更がありましたが、充実した毎日を送ることができましたか?
2学期を終えるにあたり、また、令和2年、2020年1年間を終えるにあたり、振り返る時間を自分自身の中で是非、取って欲しいと思います。
さて、今日は、あるお話を紹介します。このお話は、結構知られているので、聞いたことがある、知っているという人も少なくないと思います。こういうお話です。
昔むかし、ヨーロッパのある村のお話です。
何十年もその村で先生をやった方が、先生を辞めて自分の故郷に帰ることになりました。
村人たちは、大人も子供も、とてもお世話になった方なので、何か贈り物をしようと話し合いました。
ところが、その村は大変貧しい村で、先生にお金をかけて贈り物をするような余裕はどの家にもありません。
そこで村人たちは、村の名産であるぶどう酒(ワイン)を贈ろうと決めたのでした。
村の広場の真ん中には、大きな樽(たる)が置かれました。それぞれの家庭では、自分の家で作ったワインを少しずつ持ち寄って樽に入れます。
多くの方々が参加し、樽はワインで一杯になり、それを先生に贈りました。
先生は村人たちからの思いがけない贈り物に大変喜び、感謝の言葉を大勢の人々に告げ、村人たちや子供たちと別れるのはつらいけれど、大好きなワインをもらったので、故郷に帰っても楽しみでした。
故郷に帰って2、3日してから先生は、「さて、いただいたワインを味わってみることとするか。」と樽からワインをグラスに注ぎました。
しかし祖のワインを口にした途端、先生の表情が、「期待と喜び」から「疑惑と驚き」へと、みるみる変わりました。
なぜかというと、グラスに注がれた液体は、どう味わっても「水」だったのです。
どんなお話だったか、理解できましたか?
つまり、村人たちは、一人一人が「自分一人ぐらい、ワインでなく、水を入れたところで、大量のワインの中に入れる少しの水なのだから、大きな樽の中の味が変わる訳はない。水を入れておけ。」と考えたのですね。
これが本当にたった一人だけの行動だったら、おそらく先生が注いだ液体は「ワイン」だったでしょう。しかし残念なことに、全員がそのように考えてしまったのですね。つまり樽に注がれていたのは、初めからワインではなく、水だったのです。一人、二人ぐらいはワインを入れた人もいたかもしれませんが。「自分一人だけなら」という考え方を全員がもったとしたら、どんなことになってしまうのかを皮肉った教訓的な話として現代にも読み継ぎ、伝え継がれているようです。
私もこの話を小学生時代に、どんな本なのか忘れましたが、読んだ憶えがあります。
現実的に、こんな話はないだろうとその時は思いました。しかし確かに全員が「自分一人だけなら」とずるい考えをもって行動したとしたら、「自分一人」でなくなってしまった場合、どんなことになってしまうのだろうと思うことは色々ありますね。
私たちの生活で考えてみましょう。合唱祭で、「自分一人ぐらい声をださなくても」という考えを全員がもっていたとしたら、いくら実行委員が頑張っても、素晴らしいハ−モニ−は生まれません。
3学期に行われる、修学旅行や校外学習。「自分一人、班行動の内容を覚えていなくても、班員が覚えていてくれたら大丈夫」という考えを班員全員がもっていたら、班行動はできません。
およそ、世の中のダークな部分を構成する要素は、「自分一人ぐらい」という側面があります。「自分一人ぐらい」の後ろには「わかりっこない・バレっこない。」という言葉が続きます。
ルール違反も、いじめも,事件、事故、様々な犯罪も。大きくとらえるとこの考え方が源にあるような気がします。
今、一番協力しなければならないこと。「新型コロナウイルス」の感染防止のために、外出は極力控えましょう。会食時に話す時はマスクをして、と注意喚起をしているのに、繁華街の人では減らないし、会食時のマスクをつけないで会話をしている人も減りません。「自分一人ぐらいなら大丈夫」という考えが根底にあるのです。残念です。
それに対して、皆さんが実践してきた、「合唱祭」「国際交流の日」「部活動」「毎日に学校生活」等の行動は、こんなネガティブな考え方を打ち消すものです。
今一度、自分の生活や活動を振り返りましょう。そして、12月31日は除夜の鐘により自分の心をリセットしましょう。節目を作ることで新しい目標と自分を築いて欲しいと思います。
明日からの13日間が、皆さんにとって効果的なリフレッシュになることと、新たな年、令和3年、2021年が皆さんにとって素晴らしい年となりますよう願います。
令和3年、2021年、1月8日、金曜日、全員の皆さんと再びさわやかに新年のあいさつを交わしましょう。
良いお年をお迎えください。
終わります。』